ダイビング中の呼吸の基本

目次

問題と正解

問題: ダイビングをしている時、水中での呼吸はどのようにするべきですか?
正解: 常に呼吸を続け、気道のコントロールをし、息を止めずに、ゆっくり、深く呼吸し、決して息を止めない。


解説とまとめ

この問題は、スクーバダイビングにおいて最も重要な基本の一つである「水中での呼吸」についての正しい理解を問うものです。地上では呼吸を無意識に行っていても、水中ではレギュレーターを使いながら意識して呼吸しなければなりません。

特に大切なのが、**「息を止めてはいけない」**という原則です。スクーバダイビングでは、水深によって水圧が大きく変化するため、呼吸を止めることが大きなリスクにつながるのです。


息を止めると何が起こるのか?

水中で息を止めたまま浮上すると、周囲の水圧が減少し、体内、特に肺の中の空気が膨張します。もしその時に呼吸を止めていると、肺の中に膨張した空気が行き場を失い、肺を損傷する危険性があります。

これを**肺の過膨張障害(エア・エンボリズム)と呼びます。場合によっては、命にかかわる重大な事故につながります。そのため、どんな状況でも、「息を止めずに、常に呼吸を続ける」**ことが最も大切なのです。


正しい呼吸のしかたとは?

正解にあるように、水中での呼吸は以下の点を守る必要があります。

  • 常に呼吸を続ける
  • 気道をコントロールする(レギュレーターを口にくわえ、しっかり呼吸できる状態を保つ)
  • 息を止めない
  • ゆっくりと深く呼吸する
  • 呼吸をリズムよく、落ち着いて行う

このような呼吸を心がけることで、酸素の取り込みが安定し、二酸化炭素が体外に効率よく排出されます。これにより、パニックの防止や疲労の軽減にもつながります。


呼吸を落ち着かせるコツ

スクーバダイビングに不慣れなうちは、水中での呼吸に緊張したり、不安から呼吸が早く浅くなったりしがちです。以下のポイントを意識すると、よりリラックスして呼吸できるようになります。

1. ゆったりとしたフィンキックを意識する

動きが早すぎると心拍数が上がり、呼吸も荒くなります。**「ゆっくりと確実に動く」**ことを意識しましょう。

2. 呼吸に集中する時間を作る

潜降した後や新しい環境に入った時には、しばらくその場で止まり、呼吸のリズムを整える時間を取りましょう。

3. レギュレーターのフィット感を確認

正しく装着されていないと、息苦しさを感じてしまう場合があります。口の周りに隙間ができないように注意し、快適に呼吸できるか確認しましょう。


「息を止めない」は安全ダイビングの絶対ルール

どんなに経験を積んだダイバーでも、「息を止めてはいけない」というルールは変わりません。これは、水中の安全を保つための最も基本的で最も重要な原則です。

息を止めないことで、肺の安全を守り、呼吸器官にかかるリスクを避けることができます。また、呼吸を常に続けることで、精神的な落ち着きも保ちやすくなり、バディとの連携や周囲の環境にも気を配る余裕が生まれます。


レギュレーターはあなたの「呼吸の命綱」

ダイビングではレギュレーターを通してしか呼吸ができません。この装置は、タンク内の高圧の空気を、常に水中の圧力とバランスが取れた状態で吸えるように調整する装置です。

そのため、正しい呼吸を行うには、レギュレーターをしっかりとくわえ、口の中で空気がスムーズに流れる状態を保つ必要があります。途中でレギュレーターが外れたり、口元からずれてしまった場合には、慌てずに再装着し、呼吸を落ち着かせましょう。


まとめ

今回の問題「ダイビングをしている時、水中での呼吸はどのようにするべきですか?」の正解は、

**「常に呼吸を続け、気道のコントロールをし、息を止めずに、ゆっくり、深く呼吸し、決して息を止めない」**です。

この呼吸のルールは、スクーバダイビングの最も基本でありながら、最も重要な安全ルールでもあります。ポイントは以下の通りです:

  • 息を止めず、常に呼吸を続けること
  • 呼吸は「ゆっくり、深く」が基本
  • 気道を確保し、レギュレーターを正しく使用する
  • 呼吸のリズムを意識して、落ち着いて行動する

この正しい呼吸法を身につけることで、水中でのストレスやリスクを大幅に減らし、より安全で楽しいダイビングが実現できます。

常に呼吸を意識しながら、安心して美しい海の世界を楽しみましょう。

出典:PADI OPEN WATER DIVER MANUAL

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